都議会レポート2012/3

がん条例、自・公の反対で否決!市場予算、食の安全を条件に可決!

平成24年第1回都議会定例会が、3月29日に終了しました。

都議会民主党は、都民の総合的ながん対策が必要と考え、今定例会で「東京都がん対策推進条例」を提出しました。しかしながら、自民・公明両会派が否定的な見解を示し、否決されることとなりました。

また、築地市場の移転問題では、「食の安全を最優先する」との知事答弁を得た上で、3項目の付帯条件をつけて、関連予算に賛成することとしました。

本リポートにて私たちの質疑内容をご確認頂き、都民の皆様のご意見賜りたくお願い申し上げます。

東京のがん対策を加速 都議会民主党の条例提案!

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都議会民主党は、今定例会に議員提出議案第1号「東京都がん対策推進条例」を提出しました。

男性の2人に1人、女性の3人に1人はがんに罹るといわれており、東京では毎年3万人が、がんで亡くなっています。

議会質問や予算要望などでがん対策の推進を求めてきましたが、東京のがん死亡率は全国平均より高く、検診受診率も3割台と低迷。

そのため、医療関係者・患者団体などからのヒアリング、視察を経て、条例案をまとめました。

内容は、都民ががんについて学ぶ機会作り、予防と早期発見行動、受動喫煙防止、がんに罹っても適切な医療を選び、精神的・肉体的・社会的苦痛を軽減し、地域で良質な医療を受けられるようにするものです。

結果は、賛成61、反対62、自民・公明などの反対で否決。

今後も、党派を超えてがんと闘う東京都議会を目指して取り組みます。

築地で鮮魚マーケットを実現! 安全なければ移転反対!

都議会民主党は、関係者の合意や土壌汚染問題の解決がない中で、築地市場の強引な移転に反対していますが、関係者との合意については、2月7日、都と中央区とが、築地地区で食文化の拠点を継承していくことで合意しました。

今後、築地地区には、「食のプロに評価・使用される施設」あるいは「一般客・観光客にも親しまれる施設」といった食文化継承の核となる施設が整備され、場外市場とともに食文化の拠点としての「築地」が将来的にも引き継がれていくことが大いに期待されます。

一方、都議会民主党は、安全性が確認されなければ、豊洲新市場の開場には反対すると述べた上で、関係者の合意があったことを踏まえ、土壌汚染対策費などを盛り込んだ24年度市場会計予算に、条件を付けて賛成しました。

都民の安心・安全取り戻す24年度予算を

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未曾有の国難であった東日本大震災と原発事故は、都政運営に防災力の向上と環境・エネルギー対策という新たな課題を突きつけ、大きな政策転換の機会を与えました。

一方、今日のグローバル化の中、東京をアジアヘッドクォーター特区、MICE拠点として発展させ、起業支援や人材育成を推進する戦略も求められているため、都議会民主党は、平成24年度予算が、こうした新たな課題にも対応する予算となるよう求めました。

「2020年の東京」計画 望ましい東京とは?

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都は、昨年12月、都市戦略「2020年の東京」計画を発表しました。今後は、国内産業の活性化とともに外国企業・研究機関を誘致し、アジア地域の一大国際拠点を目指してその活力を取り込むこと、また、災害時でも行政や病院、ライフラインや物流などの都市機能を維持し、業務が継続できるよう関係機関とともに整備を進めることが期待されます。

都議会民主党は、安心・安全の持続可能な都市として東京が機能していくよう、計画を注視していきます。

日本の精神・文化の魅力をオリンピック招致に活かせ

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持続可能な社会を実現していた江戸時代の優れた文化や精神を見直し、オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の未来につなげることは大変意義深く、これら日本の誇るべきものをオリンピックの招致活動に積極的に取り入れるべきと訴えました。

都は、日本ならではのおもてなしなど、日本の精神や文化を各種の国際スポーツ会議や7月のロンドン五輪などでアピールすると答弁しました。

招致成功に向けては、私たち都議会民主党も国に働きかけながら、全力で取り組んでまいります。

広域的な帰宅困難者対策は都が主体的に推進すべき

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首都直下地震時に、東京は、火災や道路の寸断、交通・ライフラインの長期停止、人命の救援など多くの被害が起こると想定されています。帰宅困難者自身も、2次災害の危険が及ぶことから、社内で一時待機し、安全確保を行うことが望まれます。

都議会民主党は、都が、帰宅困難者対策として、備蓄強化や一時滞在施設の指定推進、情報周知など、より主体的な立場で総合対策を講じるべきと求めました。

都は、条例を制定し、一時滞在施設の指定準備を進め、民間施設に備蓄の協力を求める際の体制整備も検討すると答弁しました。

東京湾沿岸地域の地震津波対策に取り組め

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東京湾沿岸地域には都市機能が集積しているため、都は、津波低減効果を持つ防潮堤や水門などの耐震・耐水化を推進しています。

江東区においても、津波等の水害時に安心協定を企業と結び、一時避難施設の提供を受けることとなっています。

都議会民主党は、都が安全な津波避難ビル・マンションの指定に向けた区への支援をはじめ、東京湾沿岸地域における津波等の減災対策に取り組むべきと訴えました。

首都直下地震に備えて減災対策の更なる推進を

戦後最大の人的被害をもたらした東日本大震災からの復旧・復興に取り組んでいる現在、首都東京で想定されている首都直下地震が発生し、被災することは日本にとって最悪のシナリオです。

その地震動は、震源となる地下のプレートが従来の想定よりも浅いことが判明し、それによって、震度6強の揺れの範囲が広がるとともに、震度7の揺れが起こる地点も出るなど、日本の中枢機能の被災や人的被害、日本経済全体への損害が大きくなると懸念されています。

そこで都議会民主党は、首都直下地震対策の更なる推進を求めました。

知事は、日本のために、全ての備えを固め、首都東京の防災力を高度化すると答えました。

日本・世界を牽引する真のリーダー育成を!

日本の江戸期は、藩校や私塾、寺子屋などが精神的修養を基礎にした人格教育を行っていました。

リーダー不在と言われる日本では、その教育システムを見習いながら、学歴エリートではない、日本・世界を牽引する人材養成が必要性であることを説き、石原知事に訴えました。

知事は、一朝一夕にはいかないが、具体的な施策について、討論していくと述べました。

また、24年度には「次世代リーダー育成道場」として、都立高校生への初の海外留学支援が実施されます。選抜された生徒は、日本の歴史と文化をしっかり身に付け、使命感をもって留学に臨んでもらうよう、都教育委員会に求めておきました。この支援を通して、一人でも多くの真のリーダーが育つことを期待します。

若年者雇用対策の拡充を 非正規雇用対策も一歩前進

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都議会民主党が昨年来、拡充を求めてきた「未就職卒業者緊急就職サポート事業」は、24年度予算案で規模拡大し、また、環境や健康など、成長分野を対象とした新規事業も創設されました。

また、雇用形態の多様化によって、非正規雇用の割合が高くなっている若年者対策として、内部登用制度の導入促進など、対策強化を都議会民主党が求めたのに対し、都は「24年度は、専門家派遣の規模を拡大し、非正規労働者の雇用環境整備への支援を強化する」と答弁しています。

麻薬や類似成分を含むハーブの取締り急げ!

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脱法ハーブと称する薬物は、幻覚や興奮作用のある化学物質を植物片に混ぜて販売されており、中には麻薬そのものが検出されたケースもあります。

薬物の化学構造のごく一部を変えたり、お香であると言って販売するなど、法の網の目をくぐる脱法行為が横行しているため、速やかな成分検査による取締りと警察による取締りの強化が必要です。

都は、24年度から、海外から流入する未規制薬物の速やかな規制に取り組むとし、また、警視総監は、規制薬物を見逃さぬよう取締りを徹底する旨答弁しました。

民間や都の幅広い連携が犯罪被害者を支える

今年2月、東京都内に臨床心理士や弁護士などが中心となって民間による東日本で初めての性暴力被害支援センター、レイプクライシスセンターつぼみが設立されました。

都議会民主党は、それらのセンターを警視庁や病院などに都が仲介し、共通の理解と認識を持った協力態勢をつくることや、被害者支援の先駆的な取組を行う民間団体との連携などを通して、犯罪被害者支援を充実させることを求めました。

都は、被害者を社会全体で支えるために、より多くの人々や民間団体を含めた支援機関との幅広い連携・協力体制がつくられることが望ましいと述べ、より広範な支援ネットワークの形成も視野に入れて、支援事業を推進すると答弁しました。

高度防災都市づくりへ安定的エネルギー確保を

都の平成24年度予算案では都議会民主党が取りまとめて可決された「省エネ条例」の趣旨を推進する施策にも、十分な配慮がなされました。

首都直下地震等が発生した時に都民生活を守り、都市機能を維持するとともに、できる限り低炭素な、自立・分散型エネルギーの確保を進めていく必要があります。

また、太陽光利用や太陽熱利用など、再生可能エネルギーのさらなる普及が必要です。

エネルギー需給の両面から最適制御を図る仕組みの構築や、清掃工場等の排熱等の未利用エネルギーの活用など、都市づくりでのエネルギーの面的利用の最適化も課題となっています。

これらの課題に対して、都は積極的に取り組んでいく旨、答弁しています。

昨夏の経験活かし省エネ・節電の継続を

昨年夏に懸念されていた電力不足に対処するため、東京都自身も民間の取組を牽引する率先行動として、都の施設において照明の間引きやエレベーターの2分の1休止などの対策、出勤時間の分散化(サマータイム)なども実施しました。

これらの節電の経験を昨年限りで終わらせることなく、今後に活かすことが求められます。

現在の電力の供給状況では、今年の夏も再びピーク電力不足が懸念されます。

このため都議会民主党は、計画停電や電力の使用制限を回避するためにも、生活や業務などに支障をきたすことのない、無理のない範囲での合理的な節電と、さらなる省エネルギー化を推進すべきと主張。都も前向きな答弁をしています。

木密地域不燃化は地域密着型事業展開を

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都は木造住宅密集市街地の防災性の強化のため、新たに「木密地域不燃化10年プロジェクト」に着手します。

東京の防災上の弱点と言える木密地域は、独特の風情を持ち、ある意味でとても住みやすく、都会が忘れた人情が未だ息づいている地域であるとも言えます。

都議会民主党は、そうした場所にてプロジェクトを推進していく上で、住民の合意形成を緻密に行っていくべきと主張。住民の地域に対する愛着が消えることのないよう求めました。

産業活性化・防災性向上へ多摩地域交通網の充実を

多摩地域の都市計画道路の整備率は約6割にとどまっており、今なお、人、物、経済の流れをつかさどる、道路を初めとした交通網の整備が十分ではありません。

多摩地域の交通は、先端技術産業や大学・研究機関の集積を生かし、広域的な産業交流を活性化する上で、隣接県との往来や拠点都市間のスムーズな移動が課題となっています。

さらに、震災時の安全な避難経路や緊急車両の通行など防災性の面でも不十分な状況にあります。

都議会民主党は、多摩地域の交通網充実のため、中央自動車道国立府中インターチェンジ付近から、広域防災基地や横田基地を通り、圏央道青梅インターチェンジを地下で結ぶ自動車専用道路の整備を提案。多摩地域の道路整備に一層取り組むことを求めました。

産業集積と都市機能強化 東京の魅力を世界に発信

昨年末、「アジアヘッドクォーター特区」に指定された東京都が目標にしている「5年間で500以上の外国企業誘致」の実現に向けて、都議会民主党としても、コンシェルジュ機能の整備など都の独自の取組を緊張感をもって応援しています。

また、今年10月に東京で開催されるIMF・世界銀行総会を契機としたプロモーションの展開をはじめ、国際的にも遅れているコンベンション機能の拡充を求め、石原知事も、東京ビッグサイトの「できる限りの拡大をできるだけ早く実施」と答弁しています。

加えて、東京には、都市を代表する歴史的・文化的なモニュメントがないことから「江戸城再建」を提案。知事も「是非やってみたい。好ましいと思っている」と積極的な姿勢を示しました。

認知症疾患医療センター 高齢者の安心を都も支援

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都内の認知症高齢者は33万人で、高齢化が進むにつれ、さらに増加すると見込まれています。

認知症疾患医療センターは、地域の医療機関や介護事業者、区市町村と連携して、認知症や身体疾患に対応する医療機関として、都内に12ヵ所指定されます。

高齢者が安心して暮らせる地域連携の要として機能するよう、また、認知症高齢者の地域での受け入れに、都としてもしっかり支援するよう求めました。

都は、情報共有化促進や地域連携の手引き作成を行うと答弁しました。

ひとり親家庭の自立支援 在宅就業支援事業活用を

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安心子ども基金の中のひとり親家庭への支援分として平成21年度末に、国から34.5億円が配分されました。しかしながら、22年度執行されたのは7.5億円で、都の拠点1ヵ所と1区の事業のみです。

ひとり親家庭のダブルワークの負担抑制のためにも、他の自治体で行ったような、ひとり親や雇用する企業のニーズ調査等を行って工夫すべきと求めました。

都は、他の自治体の動向等も参考に、在宅就業従事者の支援に取り組むと答弁しました。

認可保育所の耐震化 スピードアップを図れ

社会福祉施設等の中でも認可保育所は特に耐震化率が低く、同じように子ども達が日中生活する場である学校と比べても、耐震化が遅れています。

この要因として、認可保育所は学校と異なり夏休みなど長期の休業期間がないため仮設施設の設置が必要なこと、敷地の狭さや保護者の送迎への配慮から、敷地周辺で代替地を確保する必要があることなどが考えられます。

このため、都は24年度から新たに仮設施設の整備費や代替地の賃借料の支援を始めます。

また、都議会民主党は、建物全体での耐震改修まで手が回らないという認可保育所については、せめて、耐震シェルターの設置を促進し、子ども達の安全を確保するよう求めました。

日本の国土を守れ! ベヨネース列岩に命名

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近年、日本各地の水源に近い山林で、中国などの外国資本による買収の動きが明らかになり、北海道や埼玉県などでは、水資源保全条例制定の動きが見られます。都議会民主党も、都に対して取組強化を求めるとともに、国に対する要望活動に取り組んでいます。

また、民主党政権が、領有権を主張するため尖閣諸島などの島々に名前を付けたことに倣い、伊豆諸島近くにあるベヨネース列岩にも命名することを提案。石原知事も「大事な提言。大賛成。責任を持ってやりたい」と答弁しました。

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