都議会レポート2010/12

青少年条例改正案、付帯決議で賛成!築地移転で石原知事が強引な決断!

平成22年第4回都議会定例会が、12月15日に終了しました。今定例会では、青少年健全育成条例の改正案が再提出され、都議会民主党は、「慎重に条例を運用する」などとした付帯決議を付して、改正案に賛成しました。また、石原知事が、関係者の合意も無い現状で、豊洲移転を決断したことに強く反発。来年の予算議会の前哨戦が展開されました。

私たち都議会民主党は、今年1年を通して、多くの都民のご意見を聴取しながら、各々の議案を精査し、結論を出してきました。来年も皆様のご支援・ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

不健全図書審議に慎重・適正な運用求め、青少年条例に賛成!

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今議会では、廃案にした青少年健全育成条例改正案が改めて提出されました。旧改正案では、青少年有害情報の範囲が、法の規定を超えないものにすべきと訴えると共に、国会で議論が継続している児童ポルノの単純所持規定に懸念を表明しました。また、「非実在青少年」の規定が曖昧かつ不明確であると強く述べ、「青少年性的視覚描写物のまん延の抑止」は条例を超えた規制ではないかと疑義を示しました。結果、今改正案では、削除そして改められました。

しかし、創作者や出版関係者の懸念を受け、「青少年健全育成審議会で図書類の検討時間を十分に確保するなど、適正な運用に努めること」などを求める付帯決議を付して、改正案に賛成しました。

都議会民主党は、未来の東京を担う青少年の健全育成のために、取り組みを進めていきます。

指定管理者の制度変更は監理団体改革が不可欠

指定管理者の選定方法が変更され、都の防災公園、文化財庭園及び臨海副都心地区公園など3グループが、監理団体である東京都公園協会と東京臨海副都心グループに各々特命選定されました。

都議会民主党は、国や他自治体で意欲ある事業者が応募し、競争の上、選定されている現状で、都が指定管理者を特命選定するに値する、都民も納得する正当な理由とは一体何かを問いました。

また、私たちは、監理団体が受託する都の特命事業と監理団体の情報開示に関する取り組みの観点から、経営の透明性の向上を更に図り、都民への説明責任を果たしていくべきと訴えました。

都は、監理団体が特命で受託した契約を全件公表することや契約情報を遡及して提供する等、監理団体に経営情報を更に公開するよう指導していくと答弁しました。

築地市場の豊洲移転を決断 市場業者、地元自治体も反発

10月22日、石原知事は、築地市場の再整備問題で「豊洲移転を進めていくことを決断した」と発言し、併せて「議会が決めかねるから決断した」旨発言しました。

しかし、都議会での到達点は、中間報告に過ぎません。また、知事が「築地での再整備は、十数年かかる致命的な事実が明らかになった」との論拠も、仮設に移転した時点で耐震化のリスクがなくなることを無視した発言です。

知事が移転を宣言した後からも、地元自治体が要望書を提出したり、市場関係団体の選挙で移転反対派が過半数を占めたりと、豊洲移転に合意があるとは到底思えません。

都議会民主党は、築地市場の強引な移転に反対しており、23年3月に予定される市場会計予算をはじめ、今後の関連議案には、厳しい対応をせざるを得ないと考えています。

新銀行で新たな展開? 石原知事が中国で交渉?

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11月19日の定例記者会見で、石原知事は、新銀行東京について「これから、セカンドステージを積極的に考える時期だと思う」「10月、12月に、中国に行って、話そうと思った」旨述べました。

6月議会での都議会民主党の質問に「その性格上、お答えできない」と答弁していた石原知事が、記者会見という場で、聞かれもしない質問にわざわざ答えたのです。

しかし、本会議での都議会民主党の質問には「事柄の性格上、お答えできない」と言うばかり。無責任な発言を繰り返しています。

第二の就職氷河期到来か雇用の掘り起こしに全力

夏以降の円高基調などにより、完全失業率は、再び悪化の傾向を見せ始めました。

都議会民主党は、この間、都が取り組んできた緊急雇用対策では、まだまだ不十分だとして、石原知事の認識を質しました。

また、大学の就職内定率が、すでにバブル崩壊後の就職氷河期を下回る水準であることから、都としても、直接、企業に出向くなど、さらに踏み込んだ雇用の掘り起こしなどを提案しました。

雇用対策で、石原知事は「機を逸することなく、重層的に対策を実施していく」と答弁。新卒者対策で、都は「ハローワークの求人掘り起こしや、採用助成金の情報提供など、国等と連携し取り組む」と述べ、若年者対策としても「セミナー等の拡充や合同面接会の参加企業の拡大など、適切に対応する」旨答弁しています。

犯罪被害者支援計画の検証と条例制定を改めて求める

都は、国の動きに合わせ五年間の新たな犯罪被害者支援計画を提示しました。

都議会民主党は、計画は被害者の立場にたつ、そして明確な数値目標があるべきで、新たな計画についても検証が必要と述べました。被害者の相談については、窓口の更なる周知が必要と考え、アメリカで実施されている必要事項が記載されたカードの配布等、被害者が相談しやすい環境整備に向けた取り組みを提案しました。

また、犯罪被害に遭った都民が等しく同水準の支援を受けられるよう全区市町村に相談窓口を設置し、多摩地域にも都の窓口を置くよう求めました。そして、都が条例を制定し、都民の誰もが犯罪被害者になり得る環境にあり、支援策や都民に被害者の方々が置かれた現状を理解させるべきと訴えました。

虐待対応力向上へ都の支援策強化を

児童相談所による直接的な相談、指導に加えて、虐待により一時保護した後に家庭復帰したケースや要支援、要注意家庭への支援の最前線は、区市町村です。

児童虐待の予防的支援や家庭復帰後の見守りを一層きめ細かく行っていくためには、児童相談所による専門的支援の強化と、区市町村自らが行う見守り等への支援策強化が必要です。

そこで、都議会民主党は、児童相談所の機能強化に加え、すべての先駆型子供家庭支援センターにおいて、虐待ケースの対応調整を行うコーディネート機能の強化、虐待ワーカーのさらなる増配置を行うなど、区市町村に対する都の支援策強化を求めました。

都は、今後も子供家庭支援センター機能のさらなる充実に努めていく、と答弁しました。

塾代支援などの生活安定化総合事業継続を

石原知事の低所得者減税構想に対し、都議会民主党が自立を支援するサービス給付がスジと主張し、始まった生活安定化総合対策事業は、多くが国の第二のセーフティネットに反映されるなど、多くの成果が上がっています。

3ヵ年の緊急対策であり、今年度で終了予定でしたが、私たちは、厳しい社会経済情勢からますます必要性が高まっており、継続すべきと考えています。

そこで、塾代や受験料のチャレンジ支援貸付事業や各種生活相談は、引き続き全ての区市町村で実施できるように、都がしっかり支援し、さらにTOKYOチャレンジネットについても、引き続き実施すべきと主張しました。

都は、成果を踏まえ、区市町村や住居喪失不安定就労者等への支援を検討中と答弁しました。

少子高齢社会対応住宅政策はコミュニティ形成に重点を!

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都は少子高齢社会に対応した民間住宅供給のため、高齢者向けケア付賃貸住宅や子育て世帯向け賃貸住宅の整備への支援に注力し始めていますが、供給量は極めて不足しているのが実態です。

都議会民主党は、少子高齢社会に対応した住宅供給に対する助成制度の充実を図るとともに区市町村による取り組みを促すべきであり、さらには地域コミュニティの形成を図る視点も重要であると主張しました。都も同様の認識のもと、積極的取り組みを進めていく旨、答弁しています。

多摩の産業振興に向けて横田でのビジネスジェット実現を

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都議会民主党は、多摩の産業振興を図る上で、横田基地におけるビジネスジェットの受け入れを主張。これに対して、石原知事も「国際競争力の強化に不可欠であり、多摩地域の活力を増大させるもの」との認識を示し、「早期実現を目指す」との決意を述べました。

また、都と多摩市町村とが連携して、地域の特性や資源を活かした産業集積を図っていくべきだとの提案に対し、都は「現在五つの市と意見交換を続けている」とした上で「地域における新産業の創出を図る」と前向きに答えました。

多摩の小児医療充実に向けて具体的な取り組みを推進せよ

都は、小児の休日・全夜間診療事業、休日・全夜間参画等支援事業などの支援策、小児救急研修を実施し、医師及び看護師育成などに取り組んでいます。

しかし、多摩地域において、小児の迅速・適切な医療を提供するためには、地域の診療所と公的中核病院、高度な三次医療を提供する都立病院などが、より一層連携していくことが不可欠です。

そこで、多摩地域の小児医療の拡充に向けた、都としての具体的な取組みを質しました。

都は、「こども救命センターに指定した都立小児総合医療センターを中心に、初期から三次までの医療機関連携の仕組みづくりに取り組む」「地域小児医療ネットワークモデル事業を進め、多摩地域の小児医療体制の充実に努めていく」と、答弁しました。

多摩・島しょ地域の観光振興策を

多摩・島しょ地域には豊かな自然や歴史的な建造物、各種の博物館、動植物園など、多くの観光資源があります。また、首都圏3千万人のポテンシャルがあるなど、観光に対する期待は高まっているにもかかわらず、この利点も活かしきっていないのが現状です。

民間の力が期待できない同地域での、これからの観光には、多様化するニーズに対応するための行政の支援策が必要であり、宿泊施設等の必要最低限の施設整備費や運賃に対する補助制度が必要となっています。

多摩・島しょ地域の振興には、観光産業が大きな柱であるという認識のもと、地域の自立につながる取り組みには積極的な行政の支援策が重要であり、その充実・強化を都に求めました。

小笠原諸島の世界自然遺産登録は

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2007年にスタートした世界自然遺産登録への取り組みは、地域連絡会議等で様々な検討が重ねられ、これまでは弊害となっていた縦割り行政を払拭した協力連携が行われています。

本年の1月には政府からの推薦書がユネスコに提出され、現地での調査も終了し、正式決定に期待が高まっているところですが、世界自然遺産登録への進捗状況について聴きました。

多摩の地域特性を活かすスポーツの盛り上げを!

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スポーツイベントの開催や施設は都心部に集中しており、多摩地域はスポーツに親しめる機会が必ずしも十分ではない状況です。東京全体でスポーツを盛り上げ、「スポーツ都市東京」を実現するために、多摩におけるスポーツ振興の一層の推進を求めました。

都は、武蔵野の森総合スポーツ施設などを国際スポーツ大会の会場として活用し、また、多摩の豊かな自然や歴史を満喫できる地域特性を活かしたイベントを充実させるなど、多くの都民が楽しめる一層の施策展開を図ると述べました。

自然への感謝を込めて食育・農業体験の推進を!

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食育の一環である農業体験は、食料自給率問題、エネルギー供給問題の関心を促し、また、生産者の苦労の理解や自然への感謝といった情操教育に大変有効です。都は、都市農地保全に向けた施策も実施していることから、都議会民主党は、小中学校の児童生徒の農業体験を積極的に進めることを求めました。

教育長も「関係各局等と連携して、区市町村教育委員会等を支援し、現在実施している支援に引き続き、農業体験を通じた食育の充実に努める」と答弁しています。

都立美術館等での解説は聴覚障害者に配慮が必要

都立美術館など都立文化施設の年間観覧者数は約336万人、そのうち障害者減免で入場した人は約14万人います。しかし、聴覚障害者への情報提供は不足しています。

iPhoneやiPad、スマートフォン携帯が急速に普及し、聴覚障害者にも貴重な情報ツールとされています。例えば、手話通訳の動画を保存し、こうしたツールで見られるようにするなど、聴覚障害者への美術作品等の詳細な情報提供を、都に求めました。

都は、大容量動画の閲覧も容易になり、携帯端末などを利用して、聴覚障害者向けに多様な情報を提供する可能性が広がっている、とした上で、端末等の普及状況、利用者の意向、費用等を総合的に勘案し、引き続き検討する、と答弁しました。

沖ノ鳥島等の離島保全は、国との連携が重要だ!

都議会民主党は、去る9月の沖縄県尖閣諸島沖漁船衝突事件をめぐり、政府に申し入れを行いました。内容は、尖閣諸島が我が国固有の領土であると国際的にも明確に主張することや、国有地として尖閣諸島及び沖ノ鳥島に自衛隊員を常駐させ、同地域の海洋警備を強化すること、レアアースの資源確保、食料の輸入先分散と国内自給率の向上に努めることなどです。

また、今議会では、東京都沖ノ鳥島の環礁に滑走路を整えるなど、都が国と一層連携を図り、領土保全に向けて努力することを訴えました。知事は、飛行場は困難だが、燃料基地を建設すれば、対潜哨戒の基地になり得るため、それを建言していくと答弁しました。

都議会民主党は、引き続き我が国の領土・領海の保全に向けた取組を、政府に要望していきます。

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